眼精疲労とは?単なる「目の疲れ」との違い
「眼精疲労」とは、目を使った後に感じる一時的な疲れではなく、目の休息や睡眠でも回復しづらく、全身症状を伴う状態のことを指します。
主な症状:
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目の奥の重さ・痛み
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ピントのズレ・かすみ
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頭痛・首肩こり・吐き気
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目の乾き・まぶしさへの過敏
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集中力低下・眠気・イライラ
眼精疲労の主な原因
① ピント調整筋(毛様体筋)の酷使
スマホやパソコン画面に長時間近づいていると、ピント調整筋である毛様体筋が疲労し、目がかすんだり見えにくくなります。
② まばたきの減少 → ドライアイ
画面凝視によりまばたきの回数が1/3に減少すると、涙の分泌が追いつかず、角膜が乾燥 → 眼球表面に微細な傷がついて疲れやすくなります(※2)。
③ 姿勢不良・首肩の緊張
猫背や前傾姿勢は肩こり・首こりを引き起こし、脳への血流が減少。それが眼精疲労に拍車をかけます。
④ 精神的ストレス・自律神経の乱れ
ストレスが高まると交感神経が優位になり、眼圧上昇・血管収縮 → 酸素や栄養不足で疲労が蓄積します。
眼精疲労に効く!科学的に効果がある5つの対処法
1. 【20-20-20ルール】視線を遠くに向ける休憩法
アメリカ眼科学会(AAO)推奨の方法です。
20分に1回、20フィート(約6m)先を20秒間見ることで、毛様体筋の緊張を解き、目の負担を軽減します(※3)。
2. 温冷交代で「眼筋リラックス」
✔ホットアイマスク(温め)
温熱によって目の周囲の血行が促進され、目の筋肉や自律神経をリラックスさせる効果が認められています(※4)。
✔冷やす(クールパック)
目の充血・炎症感があるときは、冷却で血管を収縮させることで症状緩和。
👉 おすすめ:
夜はホットアイマスク、炎症やむくみにはクールダウンを使い分け。
3. 目の体操:1分でできるピントトレーニング
✔︎「近く」と「遠く」を交互に見る:
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手を前に出して親指を立てる(30cm先)
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背景の遠くの物(3m以上)を見る
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近→遠→近→遠…を10回繰り返す
→ 毛様体筋の緊張と弛緩を繰り返し、柔軟性が回復します。
4. 姿勢&首肩ケアも必須!
眼精疲労の背景には肩こり・首の緊張が隠れているケースが多く、姿勢改善と軽いストレッチが非常に有効です。
✔︎おすすめストレッチ:
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肩をすくめて脱力(10回)
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首を前後左右にゆっくり回す
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肩甲骨を寄せて深呼吸
5. 食事とサプリで「目の栄養補給」
目の健康に関わる栄養素:
成分 | 働き | 多く含む食材 |
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ビタミンA | 目の粘膜保護・網膜の健康 | にんじん、かぼちゃ、レバー |
ビタミンB群 | 神経の修復・疲労回復 | 豚肉、納豆、卵 |
ルテイン | ブルーライト吸収・抗酸化 | ケール、ほうれん草 |
アントシアニン | 視覚機能の改善 | ブルーベリー、カシス |
👉 どうしても補いきれない場合は、ブルーベリーやルテイン配合のサプリも選択肢に。
今すぐ始める「1日眼疲れ予防ルーティン」
時間帯 | ケア内容 |
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朝 | 軽い目の体操+ルテインを含む朝食 |
昼 | 20-20-20ルール+肩回しストレッチ |
夕 | 温アイマスク+首のリリース |
就寝前 | 照明を落とし、スマホを30分前にOFF |
まとめ|目の疲れは“脳の悲鳴”かもしれない
目の疲労は、ただの一時的な不快感ではなく、脳と身体全体の疲労信号です。
適切なケアと習慣の見直しによって、眼精疲労は必ず軽減・予防できます。
デジタル社会で生きる私たちにとって、目のケアは“贅沢”ではなく“必須”。
今日から、1日5分の「目のリカバリー習慣」を始めてみませんか?
参考文献・資料
※1:厚生労働省「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」
※2:Tsubota, K., Nakamori, K. (1993). “Dry eyes and video display terminals.” New England Journal of Medicine, 328(8), 584.
※3:American Academy of Ophthalmology|Computer Use and Eye Strain
※4:Yamada M, et al. (2016). “The effect of a warm compress on subjective and objective symptoms of dry eye.” J Clin Exp Ophthalmol, 7(2): 541.